■バンクシーの巨大な政治風刺画《Devolved Parliament》(委譲された議会、2009年) が、自己最高額の987万ポンド(12億9200万円)で落札されましたね。
■10月3日、ロンドンで行われたサザビーズのフリーズウィークセールでバンクシーが2年連続コンテンポラリー・アートオークションを支配。もちろん今回はシュレッダーによる仕掛けはなし。(笑)
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【Banksy】バンクシーのチンパンジー議会油絵「Devolved Parliament」が13億円で落札
ブリストル出身、秘密主義の覆面芸術家バンクシーが描いた巨大な政治風刺画《Devolved Parliament》(委譲された議会、2009年)は、推定価格の200万ポンド(2億6千万円)と彼のオークション記録(2008年、180万ドル/1億9千万円 )を数秒で上回りました。
最終的に850万ポンド(11億2000万円)、手数料込みで987万ポンド(12億9000万円)で落札されてバンクシー自身の過去最高額を更新。
それまでのバンクシー作品の最高額は、2008年ニューヨークのサザビーズでオークションにかけられた《Keep it Spotless》(キープ・イット・スポットレス )の1億9000万円。
今回はそれを大きく上回り、その夜の最高額でジャン=ミシェル・バスキア(1960~1988年)の大作、パイロ(1984)と肩を並べました。
バンクシー争奪戦が繰り広げられたオークションのフルビデオはこちらです
少々長めの動画(約13分)なのでお酒でも飲みながらどうぞ。
今夜は、非常に真面目な人々が今、彼を偉大な芸術家だと考えていることを示しました。少なくとも、彼は現代の偉大な芸術家の一人として見られるようになるでしょう。
Alex Branczik
サザビーズのギャラリーに登場する前から世界中で大きな話題となったバンクシーの記念碑的キャンバスは、電話での参加者とオークション会場とで13分間の入札戦を繰り広げました。
入札は110万ポンドから開始して秒速で自己最高記録を更新。
サザビーズの専門家と電話でつながった入札者、そしてオークション会場にいる入札者たちが徐々に500万ポンド(6億5900万円)まで価格を上げた後で、ブランツィク(Alex Branczik)とイブニングセールのヘッド、エマ・ベイカー(Emma Baker)をコールした顧客の一騎打ちになります。
最終的に、13分後、エマ・ベイカーの入札者が、850万ポンド(11億2000万円) 、手数料込みで980万ポンド(12億9200万円)のハンマープライスで勝ち取りました。
【バンクシー v.s. バスキア】
一方、バスキアのパイロ(1984年)は820万ポンド(10億8000万円)から始まり、バンクシーと同価格でブランツィクの顧客が落札。
電話入札者間の短い競争後、こちらも850万ポンド(11億2000万円)、手数料込みで980万ポンド(12億9200万円)に落ち着きました。
バスキアといえば、80年代に頭角を現した圧倒的人気を誇るストリートアーティストとして知られ、2018-19年にかけてパリで行われた大規模な回顧展が記憶に新しいところ。
サザビーズ、欧州シニアディレクターで現代アートのヘッド、アレックス・ブランチクは販売後の記者会見でこう発言しています。
今夜の出来事をストリートアーティストが美術史に刻んだことに疑いの余地はありません。
バスキアとバンクシーがイブニングセールをリードするところを見るのは、驚くべき瞬間でした。
Alex Branczik
バンクシーがオークション後にInstagramでロバート・ヒューズの言葉を引用してコメント
芸術は、私たちをよりクリアーに、より知的に感じさせ 私たちに首尾一貫した感覚を与えていると言えます。 しかし、芸術作品の値段は現在その機能の一部であり 芸術の新しい仕事は、壁にかけられてより高価になることです。 本のように人類共通の財産になる代わりに 芸術はそれを買う余裕のある人が持つ特別な財産になっています。 世界中の価値ある本がどれも100万ドルもしたら 文化にどんな壊滅的な影響があるかを想像してみてください。 Robert Hughes, ロバート・ヒューズ(美術評論家)
今夜のオークションでバンクシーの絵に記録的な値が付いたよ。残念ながら、すでに自分のものではなかったけどね。
Banksy
まとめ
この日、バンクシーとバスキアが同じ値段で落札されましたが、バンクシーの作品はその夜の圧倒的なスターロットとして、13分間続いた劇的な入札戦争を引き起こしました。
バンクシーはこの作品を2011年に売却しているため、今回のオークションで直接利益を受けることはありませんが、ロイヤリティを再販することによって記録的セールから少しだけリターンを得られそうです。
ハウス・オブ・コモンズ(下院)を描いた大胆で強烈な記念碑的油絵は、現代のイギリスにおいて激動の政治への予兆を示していたのかもしれません。