■かつてバンクシーのドライバーでフォトグラファー、後にアートディーラーとして活躍したスティーブ・ラザリディスが写真集『Banksy Captured by STEVE LAZARIDES』を出版しました。
■ラザリディスが撮影したバンクシーの未公開画像は、今や世界一有名な覆面芸術家の魅力的でアナーキーな旅のドキュメント。
■『Banksy Captured by STEVE LAZARIDES』(スティーブ・ラザリディスがバンクシーを捉えた)は、バンクシーが世界的な悪名を獲得するまでバンクシーの側にいた男、スティーブ・ラザリディスによるバンクシーの写真集です。

みなさん、今週は私にとって重要な一週間になるでしょう。
数年間にわたりネガをスキャンして、屁をこきながらそれらを編集して、ついに準備が整いました。
今日、ついに本が印刷に出され、12月初旬には戻ってきます。
当初の意図よりも遅くなってしまいました。くそったれ。
今日は写真プリントでのライブを行います。バンクシーの画像だけではありません。
過去30年にわたり私が撮影したありとあらゆるランダムなファイルを含みます。
ちくしょう、歳を取ったものです。
こんなメッセージとともにラザリディスが公開したバンクシーの写真を早速見てみましょう。
写真集の価格は25£(約3400円)、その他の詳細については 著者Steve Lazaridesのサイト: www.banksycaptured.com をご覧ください。
Contents
スティーブ・ラザリディスとバンクシー写真集発売のいきさつ

スティーブ・ラザリディスはかつて、《Sleaze Nation》の写真編集者、社内フォトグラファーとしてキャリアをスタートしました。
それから20年がたち、ラザリディスは自分のアーカイブの全てがたわごとではなかったと判断します。伝説のバンクシーのポーレートを含め、その一部が独占公開されることに …。
最初のプロジェクトは、あらゆるところで羽目を外していた頃のBanksyと、11年以上にわたり撮影した約12,000枚の写真を整理すること。すでに写真を販売するウェブサイトを立ち上げた彼は、252ページの本『Banksy Captured』(販売価格25£)を出版しました。
写真の販売価格は£450からです。誰にとっても手頃な価格のアート作品を扱っていた「「ピクチャーズオンウォールズ」(POW)」(スティーブ・ラザリディスがバンクシーと一緒に立ち上げたシルクスクリーンビジネス)を思い出させます。」写真家として鍛えられたラザリディスはそう言います。
ラザリディスの粉々になった頭脳のフィルターを通して、バンクシーのキャリアにおける秘話、そのとっておきの瞬間を目撃しましょう。
» バンクシー本人による作品集【Wall and Piece】(日本語版)はこちらです。
バンクシーの共犯者スティーブ・ラザリディス

ラザリディスはフォトジャーナリスト時代、バンクシーと一緒に「ピクチャーズオンウォールズ」(POW)を共同設立。ピクチャーズオンウォールズは、JR、VHILS、インベーダー、ジェイミーヒューレット、トッドジェームズ、ゼウス、アンソニーミカレフ、ジョナサンヨー、Mode2、3D、スタンリードンウッド、フェイレ、バスト、ポールインセクトらの作品を販売してきました。
2018年には、メイフェアでウィサムアルマナ(Qatari magnate Wissam Al Mana)と最後のギャラリー《ラジンク》を立ち上げて、JR、ランメルジー、ジョナサンヨー(JR,Rammellzee,Jonathan Yeo)らのストリートアーティストを紹介しました。
ストリートアートの擁護者として

ラザリディスは常にアウトサイダーとカウンターカルチャーのために戦ってきました。そして、ラザリディスギャラリー(およびラザリディスエディションのプリント作品)を通してストリートアートムーブメントをメインストリームへ押し上げることに情熱を注ぎます。
だからこそ、彼はサブカルチャーへの情熱を追求するためにアートワールドから去ることにしました。そして私たちに彼の世界を独占的に垣間見せてくれます。岩の下に隠れていたら見逃してしまうかもしれません…。








» スティーブ・ラザリデス出演ドキュメンタリー映画【Banksy And The Rise Of Outlaw Art】(2020年)はこちらです。
スティーブ・ラザリディスがサブカルチャーの死とスノッブ気取りを語る

出典:スティーブラザリディス、Banksy Captured by STEVE LAZARIDES
ギャラリーから引退した理由
メイフェアで数年、そしてストリートアートディーラーとして15年を過ごした後、スティーブラザリディスはギャラリーから引退します。
ラザリディスはソロプロジェクトを追求するために、ロンドンのメイフェアに設立したラジンク(Lazinc)を離れました。ラザリディスは率直に言います。
ギャラリストにはなりたくなかったし、絵を売るようなこともしたくなかった。
Steve Lazarides
それでも私がギャラリストとして絵を販売してきた唯一の理由は、見落とされていたサブカルチャーを奨励することでした。
そしてそれはもう終わりました。
しかし、「芸術界のスノッブ気取り」と「フォトグラファーに戻りたい」という願望、そして彼がバンクシーと一緒に開催したポップアップショーが、彼自身のキャリアについて考え直すきっかけを与えました。
ギャラリーの世界は金銭的な価値以外に何もない段階にきており、私はもはやこうしたテーマに取り組むことはできません。
Steve Lazarides
現在は、彼が2004年にグリークストリートに最初のギャラリーを開いた場所から数ブロック離れた場所で新たにオフィスを設立。
ギャラリーの経営はセカンダリーマーケット(中古市場)でも厳しいと嘆きます。
「ギャラリーの75%は5年以内になくなるでしょう。高すぎるのです。」と彼。「ギャラリーが前進し続ける唯一の方法は、セカンダリーマーケットからの販売であり、ウォーホルやバスキアを動かせる人は限られています。」
ではどうしますか?
バンクシーの「最高の年」を撮影
ラザリディス自身は、数年前に飲酒をやめました。双極性障害と診断された頃でした。彼はまた、恵まれない若者たちが芸術の世界で経験を積めるよう支援するために慈善団体「Off Ends」を設立し、ワークショップを開催するロンドンの会場を探しています。
写真に関しては、バンクシーの「最高の年」を撮影したと考えています。

ブリストルのストリートアーティスト、バンクシーが束縛されず自由に絵を描いていたとき、彼は生き生きとしていました。
Steve Lazarides
彼は若く、怒りと主張を持っていました。
このペアは、ラザリディスが言うように一体になって活動しました。バンクシーが新たなストリートアートの入念なプロジェクトを思い付くと、大英博物館に偽の洞窟絵画を設置したり、西部地方で牛にスプレーペイントをしたりする度に、ラザリディスは呼び出されて撮影しました。
その後、バンクシーのアートワークがメインストリームに参入することで、多くの変化が訪れます。2018年、サザビーズでシュレッダーにかけられた作品に仕組まれた前代未聞のトリックを考えると、バンクシーの苛立ちを理解できると言います。
去年の9月には、サザビーズとクリスティーズのオークションハウスが、バンクシーのシルクスクリーンのオンラインオークションをそれぞれ単独で行いました。ラザリディスはそのようなマーケティング戦略にとても懐疑的です。
バンクシーの主要な作品はすべてプライベートコレクションです。
Steve Lazarides
オークションで重要な作品が扱われたことはありません。
なぜならオークションハウスはそれを理解していないからです。
ただし、ラザリディスはマーケットを完全に否定しているわけではありません。
彼は、アートコンサルタント会社を設立しましたが、バンクシーをメインに扱うかどうかは明かしていません。

出典:スティーブラザリディス、Banksy Captured by STEVE LAZARIDES
バンクシーに関する自分の知見を利用したことは一度もありませんが、世界一の専門家として、自分を売り込むかもしれません。
Steve Lazarides
私以外の誰もがそうしてお金を稼いでいますから。

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