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【Banksy Paris】パリでバンクシーのネズミが盗まれた【カメラがとらえた衝撃映像】

■世界一有名なストリートアーティスト、バンクシーのネズミのステンシルがパリの中心部ポンピドーセンターのそばから盗まれました。

■パリのバンクシー作品が盗難被害にあったのはバタクラン劇場に次いで今年二件目。またしてもストリートアートを保存することの難しさが浮き彫りになりました。

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Contents

パリのバンクシーの作品がまた盗難

ポンピドゥーセンターの駐車場パネル
ポンピドゥーセンター駐車場パネル

現代のストリートシーンで最も高い評価を得ている正体不明、英国のストリートアーティスト、バンクシー。

彼は2018年6月に、フランスの首都パリで非常に政治的なトーンの作品を含む一連のステンシルを残し、人々に衝撃を与えました。

ポンピドゥーに現れたバンクシーのネズミ

盗まれたポンピドーセンターそばのバンクシーのネズミbefore➝after
盗まれたポンピドーセンターそばのバンクシーのネズミbefore➝after

今回盗まれたのは、 ポンピドゥーセンター地下駐車場の「案内パネルの裏側」に描かれたこの作品です。

このステンシルには、バンクシーがインスタグラムで1968年5月の出来事《 5月革命 》に言及してパリを称賛し、《 ステンシルアート誕生の地 》というキャプションが添えられていました。

 バンクシーのネズミの真正面に見えるノートルダム寺院とパンテオン、そしてほぼ同一直線上に五月革命の舞台となったソルボンヌ大学
バンクシーのネズミの真正面に見えるノートルダム寺院とパンテオン
ほぼ同一直線上に五月革命の舞台となったソルボンヌ大学

バンクシーのネズミが描かれたパネルの正面には、ノートルダム寺院とパンテオンがそびえ立ち、ほぼ一直線上に五月革命の舞台となったソルボンヌ大学があります。

盗難の一部始終をとらえたカメラの映像

まずは、動画をごらんください。

この日、騒音で目が覚めた住民が撮影した映像によると、時刻は午前3時36分。

夜間作業員のように黄色いベストを来た男が堂々と、まるで市の職員であるかのように作業を行い作品を切り取っています。

すぐそばに止められたトラックには仲間とみられる男が1人、一部始終を見守っているのが見えます。

何台ものトラックが横を通り過ぎる中、誰一人として立ち止まる者はいません。

撮影者女性は、作品が持ち出されようとしているのか、それとも上から何かを描いているのかと自問しています。

ポンピドゥーセンターの対応

ヨーロッパ最大の近現代美術コレクションを持つパリの美術館ポンピドゥーセンター
ポンピドゥーセンター

ポンピドゥーセンターはヨーロッパ最大の近現代美術コレクションを持つパリの美術館。

同美術館は、境界内にある器物損壊と盗難被害で苦情を申し立てた後、9月2日火曜日に事件を発表。

パリの検察官はすぐに調査を開始、事件はパリ4区の警察に委ねられました。

 バンクシーのネズミが描かれていたポンピドゥーセンター駐車場の案内パネル
バンクシーのネズミが描かれていたポンピドゥーセンター駐車場の案内パネル
2019年9月5日筆者撮影

金属パネルがノコギリで切断されたと思われますが、私たちは作品の所有者ではないため、(パネルの)損壊について苦情を申し立てています。

ポンピドゥーセンター

ポンピドゥーセンターは今後、遠隔映像から事件の犯人と正確な情報の特定を見込んでいます。

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世界中で盗まれるバンクシーの作品

バンクシーのネズミが盗まれたポンピドゥーセンターの駐車場パネル
バンクシーのネズミが盗まれたポンピドゥーセンター駐車場パネル

2018年10月のオークションで《 風船を持つ少女 》が 118万ユーロで売却されるなど、 一億円以上に跳ね上がることのあるバンクシーの作品は 、ブリストル、ロンドン、トロント、現在はパリで定期的に盗まれています。

ポンピドゥーセンターの大きなネズミは、2018年7月にも盗難未遂の被害にあい、巡回していた警備員の介入により危機一髪のところで阻止されました。

バタクラン劇場の扉から盗まれたバンクシーのステンシル

2015年11月13日にテロ事件の標的となった《バタクラン劇場》非常扉に描かれた犠牲者への追悼とみられるバンクシーのステンシル

また、2015年11月13日にテロ事件の標的となったコンサートホール《バタクラン劇場》非常扉に描かれた犠牲者への追悼とみられるステンシルも、今年1月、何者かにより盗まれていました。

これらの作品は売却することができず、何十年も人目のつかない所で隠されることになるだろうと見られています。

ロンドンの壁から盗まれたバンクシーの奴隷労働者

ロンドンの壁から盗まれたバンクシーの奴隷労働者
出典:Barcroft Media, May 14, 2012, London

2013年には《 奴隷労働者 》というグラフィティーがマイアミでオークションにかけられましたが、ロンドンで作品が描かれた壁を壊して剥奪されていたことが論争となり、最後の瞬間に売却が撤回されました。

出典:Daily Mail

現在、修復された壁の横には新たにネズミのステンシルが残されています。

拡大してみると、けげんな表情のネズミが手にもつ《Why ?》の文字が何かをうったえかけてくるようです。


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まとめ

街中に残されたステンシルはあまりにも有名で、盗品であることが一目瞭然であるため、ギャラリーやコレクター向けにバンクシーが販売する正規の作品と比べて価値は低くなります。

※バンクシーは正規品には《 ペストコントロール 》が運営する証明書を発行。

都市空間に描かれたストリートアートを保護するために、一部の機関はプレキシガラスのプレートで作品をおおっていますが、それが常に損傷を防いでくれるとは限りません。

パリ文化副市長クリストフ・ジラールは、壁の所有者と密接な関係を築いたうえで、ストリートアートを慎重に個別の方法で、歪めることなく保護しようと考えています。

パリに残された8つのステンシルのうち、ソルボンヌ大学のそばにあった作品やエッフェル塔を眺めるネズミ、モンマルトルのふもとに描かれたシャンパンボトルとネズミ等、その多くはほぼ消滅しました。

バンクシーは自身のインスタグラムで、ジャック・ルイ・ダビッド作《 アルプスを越えるボナパルト( ナポレオン ) 》のオマージュや、今年一月に盗まれたバタクラン劇場の非常扉に描かれた悲しげな人物、今回盗まれたポンピドゥーセンターの大きなネズミのステンシルを含む8作品の父性を主張していました。

gypsycats

Paris Diary written by gypsycats from Paris France フランスとパリとアートを愛しています。アートやファッション、小旅行など様々なことを綴ります。

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