◾️イタリア警察は6月10日、イタリア中部のアブルッツォ州(Abruzzes)にある農家でバンクシーの作品を発見したと発表。
◾️今やすっかり著名になったイギリス人覆面アーティスト、バンクシーの作品は2018年にパリのコンサートホール「バタクラン」の防火扉に描かれたものです。
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バンクシーのステンシルを盗んだ犯人を逮捕【バタクラン】

2019年にパリのコンサートホール「バタクラン」からバンクシーの作品を盗んだ容疑で金曜日に6人が起訴、2020年6月27日(土)に拘留されました。
6人は火曜日、パリ司法警察部(DCPJ)による捜査中に、イゼール県、オートサヴォア県、ヴァル県、ローヌ県、ピュイ=ド=ドーム県で逮捕。

現在2人は「組織的な企みによる強盗罪」で、他の4人は「組織的な企みにより盗品を受け取った罪」で起訴、6人全員が拘禁されています。
盗まれたバンクシーの作品をイタリア中部の農家で発見

2020年6月11日にイタリアのローマで行われた記者会見で、昨年1月にパリで盗まれたバンクシーのステンシル「悲しげな人物」の描かれた扉がイタリア中部の農家で発見されたことを発表。

イタリア警察は2020年6月10日、フランスの警察とイタリアの国家憲兵カラビニエリが共同で行った捜査中に、アブルッツォ州(Abruzzes)にある農家の屋根裏部屋から「盗まれたバンクシーの扉」を押収しました。

事件には多くの疑問が残っていますが、確実なことは一つだけです。
この扉は確かに2015年の「バタクラン事件」の犠牲者へのオマージュとして、
バンクシーがステンシルした扉です。2019年1月にパリで盗まれたこの扉は、6月10日水曜日の朝、
イタリア中部のアブルッツォ山脈にある人里離れた農家の屋根裏で発見されました。
盗まれたバンクシーの作品とは【バタクランの防火扉】
Fire door, Bataclan
防火扉、バタクラン
Banksy、Instagram
バンクシーが描いた「悲しげな人物像」は、2015年11月13日にパリとサン=ドニを襲った一連の襲撃で90人が犠牲になったとされるテロの現場に現れました。
合計130人が殺害され、そのうち90人が「バタクラン」でロックバンド「イーグルス・オブ・デスメタル」のライブを観戦していました。
ル・フィガロ紙によると、パレスチナのアルカイダのリーダーと見なされているハレド・ムスタファは、2011年に「フランスのバタクランを攻撃」する計画があったと告白しています。なぜならバタクランのオーナーはユダヤ人だから。


2015年事件当時ライブを行っていた「イーグルス・オブ・デスメタル」のシンガーJesse Hughesは親イスラエル派の活動家であり、イスラエルへのボイコット運動に断固反対。
2016年2月に行われたインタビューでは、2015年11月13日にバタクランがテロリストに狙われたのは「ユダヤ人が働いているという単純な理由だ」と考えており、Jesse Hughesは「個人的に非常にイスラエルを支持している」と打ち明けました。

一方、バンクシーはイスラエル軍によるパレスチナの占領に強く反対して、2003年頃から分離壁や瓦礫にステンシルをしたり、2017年にはパレスチナのベツレヘムに世界一眺めの悪いホテル「The walled off hotel(ザ・ウォールド・オフ・ホテル)」を設立。
2018年6月、バンクシーがパリのコンサートホール「バタクラン」の黒い金属製の防火扉に描いた「悲しげな人物像」は、事件への追悼としてパリジャンから歓迎されました。
作品を盗んだ犯人たちは2019年1月25日~26日の夜、グラインダーで扉を切断して作品の描かれた扉を強奪。
誰がどうやって扉を持ち込んだの?【バタクランからイタリアへ】

捜査員が農場に住む中国系の家族に聴き込みをしたところ、彼らは「大家の依頼でここに保管されている」と答えています。

中国人居住者は屋根裏部屋に上がったことはなく、この芸術作品について何も知らないようです。

イタリア人大家も、カメラの前で自分は何も知らないと断言。バンクシーの絵がどうやってこの家に隠されたのか理解できないと言います。
その割には大家さん、顔を赤らめて目が泳いでいませんか。
誰が(バンクシーの作品を)持ってきたのかわかりません。
イタリア人家主
夜中に持ち込まれたとしても、
私は家の中で寝ていますから。

警察は、この中の誰かが嘘をついていると確信しています。
» バンクシー監督ドキュメンタリー”イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(日本語字幕版)”はこちらです。
最後に

作品が発見されたイタリアの農家と、今回フランスで逮捕された6人にはどんな関係があるのでしようか?
また、犯人たちは何と供述するのでしょう。
今後の展開が気になりますね。
去年パリで起きた別の「バンクシー盗難事件」では、「バンクシー本人から依頼されて作品を盗んだ」と供述し、無罪で釈放された犯人さえいました。(バンクシーは公式に事件との関与を否定)
回収された作品はフランスに戻ってくる予定です。
2018年6月にバンクシーがステンシルを描いた元の場所、パリの「バタクランの非常口」で再びバンクシーの作品を目にする日が来るなんて、今から楽しみですね。
» バンクシー本人による作品集”Wall and Piece”【日本語版】 はこちらです。
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