■バレンタインデー前日の早朝にバンクシーの地元ブリストルで新作が見つかりました。
■クリスマスやイベント、政治的出来事の節目に作品を発表することが多いバンクシーですが、今回バンクシーがコンクリート住宅の壁に描いたのはパチンコを放つ少女と空中で散る赤い薔薇でした。
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Contents
バンクシーがバレンタインデーに新作
【パチンコで遊ぶ少女と壁に散る赤い花】を発表
バンクシーのインスタグラムへの投稿
公式インスタグラムに投稿されたこの作品に、本人によるコメントはありませんでした。
第一発見者のはなし

第一発見者の地元の男性ジェームス・ブロックさんは、バンクシーが作品を投稿するより先にTwitterで写真を投稿し、こうつぶやいています。
今朝、ブリストル で バンクシー の新作?
半信半疑のジェームズさんに、メディアが写真の使用許可を求めたところ

もちろん。今朝6時20分頃、ガールフレンドと2人でジムへ向かう途中、足場に上る人たちがいたんだ。
おかしいと思って彼女と今朝、もう一度そこを歩いて通ったんだよ!!
ジェームス・ブロックさんによると、現場には複数の人がいたようですね。
バンクシーが女の子のステンシルをスプレーで描き、別の数人で壁に薔薇を設置したのでしょうか。
この投稿を見た各メディアは、バンクシーの作品である可能性が高いとしてブロックさんの写真を拡散。
その日一日沈黙を貫いたバンクシーが、自身のインスタグラムに作品を投稿したのは、現地時間の日付が変わった2月14日深夜のことでした。
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作品の全体像
今回の作品は、2008年にバンクシー自らの操作によりオークション会場でシュレッダーにかけられた《赤い風船と少女》と似た構図をしています。
少女が撃ったパチンコが空飛ぶ赤い風船に命中した瞬間をキャッチしたかのようにも見えます。
もしくは、少女が赤い薔薇をパチンコで空中に撃ち放ったと見る方が自然かもしれません。

バレンタインの赤い薔薇
また、バンクシーが公開した写真では、郵便ポストの赤とポールの赤、壁の赤い薔薇がほぼ同一線上、または対角線上に並び、Marsh Laineと書かれた標識にも赤い花が添えられていました。
立体的な赤い花は造花でできていて、欧州のバレンタインデーに男性から女性へ贈られる赤い薔薇をイメージさせます。
鮮血のような印象さえ与えるインパクトの強い作品です。


スカーフの少女
頭にスカーフを巻いた少女が空に向かってパチンコを放つ姿は、ハートを射止める愛のキューピットといったところでしょうか。
ピースサインの形をした少女の右手指は、いったい何を意味しているのでしょう。

日本でピースサインと呼ばれるジェスチャーは、欧米では勝利・反戦・平和のシンボル。「Victory(勝利)」を意味する「V」の形をつくるため日本でも「Vサイン」と呼んだりしますね。
さらに由来を調べると、14世紀イギリス軍の血生臭い歴史に行きつきます。(興味がある人は調べてみて下さい!)

ロンドン市民にVサインを掲げるウィンストン・チャーチル
キューピットの矢の先に、バンクシーの挑発と少女の未来があるのかもしれません。
バンクシーのバレンタインデー新作の場所はどこ?
【バンクシーのバレンタイン作品所在地】
1 Marsh Ln Redfield【Bristol】
バレンタインの作品が見つかったのは、 バンクシーの出身地でイギリス南西部の港町、ブリストルのバートンヒル地区にあるマーシュレイン通り。
【住所】1 Marsh Ln Redfield Bristol
【バンクシーの出身地】ブリストルとは
バンクシーが生まれ育ったとされるブリストルは、マッシブアタックやトリッキー、DJ シャドウ等に代表されるトリップホップの発祥地として知られています。
ブリストルには今回の作品の他にも、バンクシーのステンシルがいくつか残されており、ブリストル美術館にはバンクシーが寄付した彫刻が展示されています。
ロンドンからは電車で1時間45分ほどなので、 興味がある方は現地まで行ってみてはいかがでしょうか。
また、毎年8月には30年以上の歴史を誇るヨーロッパ最大の熱気球イベント:バルーンフェスタ《 Bristol International Balloon Fiesta 》が開催されますよ。


おわりに

バンクシーは以前からシリアやパレスチナの難民を支援してきました。
昨年は、バンクシー自らが立ち上げたオンラインショップ Gross Domestic Product で、ギリシャの難民キャンプの女性たちLove Welcomes によるハンドメイドのドアマット Welcome mat を販売しました。
収益はすべて、シリア難民のための語学レッスン、コンピュータートレーニング、弁護士とのミーティングや食料の購入のための交通費等にあてられます。
この作品の赤い薔薇は、バンクシーからギリシャで(または世界中で)難民として暮らす少女たちへの愛の贈り物だったのかもしれません。
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