パリで盗まれた「バンクシーの扉」がイタリアの農家で見つかったらしいね。
その後、作品はどうなったの❓
犯人は、結局誰だったの❓
そんな疑問にこたえます。
◾️ストリートアーティスト・バンクシーの盗まれた作品「悲しげな少女」は、2015年パリ同時多発テロ犠牲者への追悼として、コンサートホール「バタクラン」の非常扉に描かれました。
◾️バンクシーの扉が盗まれてから1年半後、イタリアの農家で「扉」を発見。
◾️フランス北東部イゼール(Isère)で盗まれたグラインダーとおしゃべりな容疑者とは?
◾️逮捕された男はバンクシーから影響を受けたTシャツブランドのクリエーターだった。
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パリのバタクランで盗まれたバンクシーの作品をイタリア農家で発見
Contents
【バンクシー盗難事件】バタクランの非常扉

盗まれた【バンクシーの扉】とは
2019年1月25日~26日午前4時ごろフードをかぶりマスクをした3人組が、「バタクランの扉」をグラインダーで切断して持ち去りました。
盗まれたのはただの扉ではありません。
2015年11月13日、パリのコンサートホール「バタクラン」で、90人の命が失われました。
2018年6月にパリを訪れたバンクシーは、コンサートホール「バタクラン」の黒い扉にたたずむ悲しげな人物を描きます。
作品はその後「The sad young girl(悲しげな少女)」と呼ばれるようになりました。
パリとパリ郊外サン=ドニで、合計130人の死者を出した同時多発テロ。
扉に描かれたバンクシーのステンシルは、その時殺された90人への追悼作品でした。
» バンクシー本人による作品集”Wall and Piece”【日本語版】 はこちらです。
【警察の捜査】シトロエンを追跡して盗聴

監視カメラの映像によると、犯人たちはわずか数分で扉を切断。
3人の泥棒はナンバープレートを隠したシトロエンのバンに「バンクシーの扉」をつみこんで逃走しました。
警察は、逃走したシトロエンを監視カメラで追跡して、盗聴器をしかけます。
それから1年後、イゼール県のDIYショップにて3人の男を強盗容疑で逮捕しました。
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盗まれたグラインダー
バタクランでバンクシーの扉が盗まれる数日前に、実は別の盗難事件がありました。
当時、盗まれたものの一つが「グラインダー」でした。
しかも容疑者の一人は、パリで盗難事件に参加したと自慢していました。
警察は盗聴と監視により「バンクシーの扉」を盗んだ3人の男を特定。
捜査員は「バンクシーの扉」がイゼール、次に南フランス、そしてイタリアへ旅したことを知ります。
監視カメラと盗聴器により、新たな事実が浮かび上がりました。
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バタクランからイタリアへ

イタリアに着いたバンクシーの扉は最初、アブルッツォ地方(Abruzzes)のトルトレト(Tortoreto)のホテルに保管されていました。
その後、扉はホテルから約15キロ離れたサント・オメロ(Sant’Omero)の農場に移送されます。
盗品を受け取ったホテルのオーナーの知人、メフディ・メフタ(Mehdi Meftah)は大きな包みの中に何が入っているのか知らないと主張。
しかし捜査員は一味全員を逮捕しました。
【バンクシー盗難事件】バンクシーを盗んだギャングは「BL1.D」のクリエーターだった

捜査は新型コロナウイルスによる「ロックダウン」のために一時中断。
その後6月10日、イタリア警察と合同でイタリアの農家からバンクシーの扉を押収。
それから数日後、フランスで9人を逮捕。
「組織化されたギャングによる盗難容疑」で2人が起訴・収監され、メフディ・メフタら4人は「盗難隠蔽罪」で起訴されました。
首謀者は「BL1.D」のクリエーターMehdi Meftah

盗難を首謀した容疑で逮捕された男、メフディ・メフタ(Mehdi Meftah)はリヨン郊外育ちの39歳。
ボクサーのような体格で、腕にはタトゥーが入っています。
男は、ネックラインに18金プレートをぬいつけた高級Tシャツブランド「BL1.D」のクリエイターでもあります。
容疑者は「バンクシーが移民について制作した作品やその活動をリスペクトし、影響を受けた」と過去のインタビューで公表。
自身がプロデュースするTシャツには、「バンクシー がバスキアからインスパイアされた王冠」をゴールドに刻印して縫い付けていました。
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高級Tシャツブランド「BL1.D」とは

「BL1.D」は2019年、メフディ・メフタがフランスで設立したストリートウェアブランド。
アーバンカルチャーやHip Hopラップカルチャーに特化したブランドで、Tシャツ一枚一枚に18Kゴールドプレートが縫い付けられています。
2020年秋冬「メンズファッションウィーク」では、モンテーニュ通りの車道でファッションショーを開催して周囲を驚かせました。

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転売は難しい
「モナリザを転売するようなもの」
今回のバンクシーの作品のように、盗まれたことで世界的に有名になってしまったストリート作品を転売するのはとても難しいといいます。
弁護士によると「BL1.D」のクリエイター、メフディ・メフタは首謀者としての役割に反論。
古い知人を助けるためにこの「扉」を受け入れたと主張し、「自分は一銭も受け取っていない」とメディアの取材に断言しています。
最後に

いかがでしたか。
容疑者が否認しているということで腑に落ちない感じですが、バンクシーの扉「悲しげな少女」はすでにイタリア当局からフランスに引き渡されました。
現在は、パリの司法警察敷地内で厳重に管理されています。
バンクシーの扉「悲しげな少女」が、一刻も早く作品が描かれた「バタクランの非常口」に戻ってくるといいですね。
今回は以上になります。
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